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スポットライト 世紀のスクープのmingoのレビュー・感想・評価

3.7
試写会にて。
まず印象として、派手なシーンがひとつもない上に正直エンターテイメント性は低いので体の芯から震えたぜ!とかそういう興奮はないが、記者陣のリアルを丁寧に描写した映画だった。

あるスクープをボストングローブ紙「スポットライト」チームの記者たちがどのように調査を行い、取材を重ね、葛藤や怒りを感じながらも真実に近づいていったかを描き、実に硬派で社会派ドラマなのだが、働く上で問題を持ちどう解決していくかを模索し今後の未来を背負う若者は特に観るべき映画だと感じた。

普段から記者たちとやりとりし、日々ジャーナリズム視点からのグラフィックを考える身としては点数がつけにくいのが素直な感想。この映画の事実を鵜呑みにして影響を受けちゃうのが最も危うい。

あるスクープというのは、神を代弁する存在としての神父が、信徒の心のよりどころのはずなのにもかかわらず、レイプや性虐待を行ってきたという裏切り行為(prayせずにplayしちゃったというくだりはブラックすぎた)は酷いとか論理性の揺らぎとかもちろんそうなんですが、そんなレベルじゃなく個々にちゃんとブレない芯はあるかってことだと思うんです。間違ったときに間違ってると発言できるかどうか、そしてじぶんの中の問題意識を今後どう解決していくか、生きていく上で最も大切なことを伝えようとしてたのは素晴らしかった。

真面目に仕事としてこなしてる神父もいるし、こういう問題は両義でとらえなければいけない。それでもやっぱり信仰が薄い日本では「悪」とみなされたことは悪だし、正義は正義なんですかね…じぶんに関して言うなら宗教なんてロクなもんじゃないと思うし、じぶん信じれなくなったら友達や家族に頼ったら良いし、それさえもいなかったら他人に守ってもらうしかない。でもそうなるから宗教が生まれたんだよね…一概に結論だせねえ〜

最後に映画として、登場人物はほぼ全員記者でただ仕事しているだけなのに張り詰めていく緊迫感、そして途方もなく大きな闇の権力構造が伝わってくる本作からは派手な演出は一切しないしいらないそれが演出だということが実感できる一本だった。
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