あやっぺ

スポットライト 世紀のスクープのあやっぺのレビュー・感想・評価

4.0
初めは新聞に埋もれていた小さな記事が、探っていったらとんでもない巨悪が潜んでいてそれを暴くまでの映画です。

ほんの数人の神父の悪行(児童への性的虐待)を調べて辿っていくと、そういう神父の人数がどんどんと膨れ上がっていき(ボストンという町1つだけで)、更に想像以上に昔から事件は起きていたが教会側はそれをずっと黙認し続け、件の神父達は担当地区を異動させられるだけで何の処分も無く(時には異動すらさせずにいた)、そうして被害者はどんどんと増え続けていったという恐ろしい事がわかりました。そしてその神父がどんな子供を虐待のターゲットに選ぶかっていうのがまたえげつない。心身ともに傷つけられても、誰に救いを求めれば・・・

ボストン・グローブの記者達の目線からの物語で2時間弱の映画ですが、全然ダレません。何も知らなかった彼ら達と共に、次々に明かされる事実に「うわぁ・・・」とショックを受け続けていくので。エンドロール前に出てくる、とある一覧を見たときは本当にゾッとしました。

記者達は被害の実態を調査していくことで、問題は変態神父だけではなく“教会”という大きなシステムが持つ権力とその腐敗にもあるという事を掴み、それを明るみにしました。
そんなスクープの映画だけど、保守的な会員が多そうなアカデミー賞でよく作品賞取れたなーと思っていました。しかし教会やそれ以外にもこの事実を知っていながら隠蔽に加担してきた人達のように「臭いものだからスルーしよう」みたいな考えが良くないんですよね。多くの信者達を長い間苦しめてきた闇にスポットライトをあてた記者達の物語だからこそ、とても見応えのある作品であったと思います。
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