あべ

スポットライト 世紀のスクープのあべのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

様々な諸問題にあたりながらも、地道に粛々と調査を積み重ねた末に叩きつける渾身の社会正義。良かった...。
いくらでも劇的にドラマチックに出来るのにあえてしない、この抑えられた演出に痺れた。
思わず嘘だろ?と言いたくなる事実が開示されるシーンでは、徐々にカメラが遠ざかり引きの画になってくれたり、こちらの心情と画面の演出がシンクロする瞬間が度々ありとても小気味良かった。

誰だって正しい行いをしたいが、気づかないうちに傍観者という悪の片棒を担いでしまっている、という点をずっと示していたのがまた良かったな。
ずっと知ろうとしてこなかったくせに何故今頃になって?ずっと前から訴えていたのに何故今さら?
局長の言葉がとても心に残る。私たちは常に闇の中を彷徨っていて、光が当たってようやく誤った道を歩んでいたことがわかる。

記事が出る2週間前に被害に遭ってしまった子供たちという「救えたかもしれない新たな被害者」を最後にサッと出す製作陣のフラットさがすごい良かったなあ。

私はやはりこういった、システムや社会構造全体の問題点を淡々と暴き出すソリッドなアメリカ映画がめちゃくちゃ好きだな。1人の人間というより、ロビーが何度も示していたWhole Systemの問題なんですよね。
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