坂本ネコ

スポットライト 世紀のスクープの坂本ネコのレビュー・感想・評価

4.0
アカデミー作品賞、脚本賞を受賞した作品。受賞時にはダークホースと言われてましたが、鑑賞してみるとなるほど納得のアカデミー好みの作品、骨太ガチンコ社会派ドラマでした。「大統領の陰謀」や「JFK」やら組織の悪や陰謀話しが大大好きな私は全く退屈せず、今このような映画が作られた事を嬉しく思います。

2001~2002年にかけてボストン・グローブ紙が、カトリック教会において数十年間組織ぐるみで隠蔽していた、多数の神父による児童への性的虐待を、社内の「スポットライト」チームで独自に調査し、暴くまでの本当にあった出来事。
派手なアクションシーンもなく淡々と物語は進みますが、自分の身体が段々と前のめりになり映画の中に引き込まれてゆき..静かな緊張が起こる。ぐっと手を握りハラハラしっぱなしでした。
直接的な描写はないものの、被害者達の訴えが切実で、後半ラファロがキレた所で私の腸も煮えくり返りました。「神様には逆らえない」残酷すぎる。
役者も皆素晴らしく、特に変人弁護士役のスタンリー・トゥッチと、スポットライトのチーフ役のマイケル・キートンがすごく良かった!キートンはどうしてアカデミーにノミネートされなかったのだろう?...と今更ながらに怒りが(笑)
日本人にはあまり馴染みがない宗教観でピンとこないかもしれないですが、やはり巨大な組織には巨大な力があり、報道も一緒に隠蔽なんて事はザラにあると思うので、報道こそが悪に立ち向かう槍となる社会になればと思います。

...が、戦慄のエンドクレジットで、どう足掻いても抗えないのかなぁと...。
坂本ネコ

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