Travis

スポットライト 世紀のスクープのTravisのレビュー・感想・評価

4.3
〜神に仕えし悪魔たち〜

特別に派手な何かが起こるわけでもなく、ただ事件の真実を暴く為にひたすら情報や証拠集めに奔走するジャーナリストの姿を描く。実にシンプル。そう真実なのだから無い事を描く必要性がない。

この作品を観ているうちに映画の中に引きずり込まれた気がした。いろいろな登場人物が疑わしく思えて信じられなくなる。特にある2人の人物の存在が巧妙だ。とても丁寧に構成されていて、何にも起こらないのに何故か胸騒ぎ的感覚がおさまらないのだ。まるで良質なサスペンスを観た感じだ。また夜のシーンも無防備な感じなのが、ますますハラハラさせる要因のひとつかもしれない。
ジャーナリストのあるべき姿を静かに、それでいてその使命感に溢れる熱意は観ていてグッとくるものがありました。
何だかラストに自然に涙が出てきました。

この作品の情報は殆ど無しで鑑賞したのですが、始まってから「あっ!あの事件の話か!」と思い出しました。
この映画はジャーナリスト側を描いています。もしも、これを事件の加害者と被害者を直接的に描いたものであったら、最後まで観ていられただろうか。。。

決して繰り返してはならない闇の歴史。このことが風化されてはならない。そういう意味でもこの作品の意義は大きい。そして沢山の人に観てほしい一本です。
これはこの事件に限ったことではない気がする。権力を笠に着て恐ろしく悍ましい悪行を繰り返す者たちへの警告になってほしい。
Travis

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