かえで

スポットライト 世紀のスクープのかえでのレビュー・感想・評価

3.9
複数の神父による子どもへの性的虐待をカトリック教会が長きにわたって隠蔽していたというスキャンダルを、ボストン・グローブ紙「スポットライト」チームが暴いてゆく実話に基づくストーリー。
静かに淡々と、少しずつ堅実に調査が進められ、次第に事の全貌が明らかになってゆく。テンポが単調ではありましたが、そのテンポこそがまたこの作品の良さに繋がっていると感じました。
日本では欧米でいう教会のような組織団体がないので想像し難い部分もあるけれど、このスクープが人々にもたらす衝撃は相当なものだっただろうと思います。そして被害者たちの心の傷もまた、計り知れない。
「これを記事にしたら誰が責任を取るんだ」
「では、記事にしない場合の責任は?」

真実を伝えるという希望の光が差す一方で、その光が落とす影もあって。真実を暴いてすっきり、ああ良かったね、ではなく、色々なことを考えさせられる、静かな余韻が残る作品でした。
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