346

スポットライト 世紀のスクープの346のレビュー・感想・評価

4.0
そりゃ作品賞をとるよね。
授賞式のマイケルキートンのガッツポーズが本当にカッコよくて、この映画を観終わってすぐ、それを思い出してしまった。バードマンのマイケルキートンより、個人的にはこちらのほうがずっと好き。

まぁ、何を言っても役者をあげるなら、マーク・ラファロ。この映画におけるエンタメ担当。誰より走り、誰よりも感情を表現するキャラクター。彼が違いを生んだと思う。この作品を映画にしたの彼の存在が大きい。

でも、この映画は役者の功績もさるごとながら、1番の魅力は演出。
過剰になる一歩手前で抑えるあのバランス感覚。かといって凡庸ではなく、映画的緊張感を常に維持し続け、それでいてその緊張感を安易にカタルシスへと繋げない意図。その設計が抜群だったように思える。

本当にあった悲惨な事件を映画にする場合、過剰な演出よって真実を曖昧にしてしまう危険性もあるが、映画的な嘘によって観客をこの事件に惹きつける必要もあるわけで、そのバランスが絶妙だった。

あのテンポだけで進む冒頭は、近年のハリウッド的手法のひとつな気がする。ひらきなおったかのように説明を省略し、登場人物の行動を次から次へと詰め込むことで、感情が揺れ動くシーンの多い後半の印象を強くさせている。でも、個人的にはなんか分かんない!って劣等感に苛まれるので、好きじゃないんだな。

あと、最近、人から聞いた話だと、今でも人気の海ドラ、ゲームオブスローンズのパイロット版をトム・マッカーシーが監督することになったんだけど「芸術性に欠ける」という理由でクビになったらしい。普通は1話扱いになるはずのパイロット版は、そのまま放送されることもなくお蔵入り…。
そんな夢や希望の全てをへし折られるような経験をした6年後にアカデミー賞で作品賞をとるなんて、いやぁ、なんかすごいなぁ。
346

346