雨虎

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生の雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ゲラート・グリンデルバルドが逮捕されてから拘束されている様子が序盤にあり、あまりにも厳重な状況に序盤から緊迫感があった。そんな中でアバナシーがグリンデルバルドを監視窓から見ている姿は底しれぬ不気味さがあった。
雷雨の中、欧州へ移送を見送り、アバナシーが持っていないはずのニワトコの杖を取り出したシーンはとても格好良いシーンだ。その後の入れ替わった部下のアバナシー救出までの過程は序盤から派手で楽しい。

本作は前作に比べ、魔法生物の場面がわずかに少なかったが、代わりに魔法の格好良さも伝わるように描写が工夫されているようにも感じた。脱獄シーンのような派手なものから、フランス魔法省の書庫といった地味なものまで細かな魅力があった。

また、本作の服装は舞台がフランスがメインという事もあってか前作に比べて多彩だ。例えば魔法省での職員の服装はチャコールグレーやグレーのスリーピースだ。かなりお堅い公務員という印象を与えている。ダンブルドアも落ち着いたグレーのスーツではあるが、丸みのあるデザインで柔らかい。フランス魔法省の職員の女性も様々な服装でファッショナブルだ。

アジアの魔法生物の登場も嬉しいものだったが、少ししか登場しなかったのは残念ではある。ただ、ズーウーの登場には驚いた。古代中国の伝説上の生物で瑞獣の騶虞が元になっていると思ったからだ。外見的な特徴はまさに伝承の通りだった。ただ、穏健な生物とも言われている点は異なる。

個人的に、最も残念だと感じたのはマクゴナガルの登場だ。
確かに、彼女もある程度の年齢のようにも見えるが、小説『不死鳥の騎士団』での発言からどう見積もっても1927年には生まれていない。
また、ダンブルドアもその次代は変身術の教授だったという設定がある。ボガートを扱い授業は『アズカバンの囚人』と同じ内容であれば闇の魔術に対する防衛術のはずだ。一応、これは講師の臨時変更という仮説を立てることができ、その仮説自体に不自然な点はないはずなため、こちらはそこまで大きな矛盾とはいかないものの、説明がないためにややひっかかった。
雨虎

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