おなべ

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密のおなべのレビュー・感想・評価

3.7
◉『ファンタスティック・ビースト』シリーズ第3作目。シリーズは全5部作を予定。

◉闇の魔法使い・グリンデルバルドの策略により、魔法界は分断の危機に晒される。これを阻止すべく、魔法動物学者のニュートとその仲間たちはダンブルドアの助言のもと、寄せ集めチームを結成。しかし、次第に力を増す闇の勢力に追い詰められ…。

◉先ず、魔法動物らが堪らなく可愛い。お馴染みキャラである〔ニフラー〕〔ピケット〕はもちろん、物語の重要な鍵となる〔キリン〕の可愛さときたらそれはもう!できる事なら、この世に存在する全ての優しさと愛情を注ぎ、一生飼い続けたい(お辞儀される事は一生ないと思うけど…)。

◉本作から初登場のキャラも含め、新旧ともに敵か味方か分からないミステリー要素があって、「こいつはスパイかい?」「スパイじゃないのかい?」「どっちn…」というハラハラ・ドキドキの面白さがあった。

◉ダンブルドアの知られざる過去の秘密が明かされる本作。物語に大きく関わってくる重要な要素であるものの、『ハリポタ』公開時のどこかのタイミングで調べた原作の予備知識があったため、それほど吃驚はせず。ただ、少し原作と違う部分があり、それはそれで興味深かった。

◉しかしながら、総じて『ハリポタ』超えならず…というのが正直なところ。と言うのも、新シリーズが始まって独立した『ファンタビ』の世界観を期待していたのに、前作同様「結局『ハリポタ』に帰結するんだ…」と思ってしまった。

◉本音を言うと、本作の中で見応えがあったのは懐かしき『ハリポタ』シーンと魔法動物に限り、その他の要素(脚本・劇的な葛藤・カタルシス・ダーク感)は、パッとしない印象。本来は切り離して評価するべきだけど、ファンタビの此度の人気の影には“ハリポタ貯金”あってこそと思わざるをえなかった。











【以下ネタバレ含む】











◉元祖『ハリポタ』の懐かしいBGMやホグワーツ関連のシーンに大興奮!特に、お馴染みの音楽が流れた時は、体の底から湧き上がる得体の知れないゾクゾク感が体中を駆け巡った。

◉ティナとニュートの恋慕情。《J・K・ローリング》様、残りの2作品は2人の恋愛に全振りするという案はどうでしょうか。それだけで充分見応えがあるかと存じますが、いかがでしょうか。

◉ラスト、ダンブルドアが結婚式の様子を、遠巻きから眺めるシーンの長尺。意味深な長尺だったけど、壮絶な戦いの後の微笑ましい日常のひと時が、より際立って助長され、見ているこちらまで温かい気持ちになったよ。








【以下、気になったところ】








◉何となく読めてしまうストーリー展開(バンティの件・ユスフの寝返り)。

◉全体的に、絶望感があまり感じられない。

◉前作のフリが簡単に回収(クイニーの“闇落ち”も意外とあっさり。1作目から散々引っ張ってきたクリーデンスも、覚醒しとんでもない脅威になるかと思ったら、そこまで目立たず…)

◉スローモーションは魔法動物のユーモアだけにして欲しい。『スターウォーズ』の新シリーズ3部作でもそうだったけど、一触即発の命を賭けた呪文の戦いにおいて、スローモーションは逆に命取り…。
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