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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密のvincentのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

毎度の事ながらこの世界には魅了される。
ダークファンタジーの定型パターンの果てに苦い勝利と微かな希望の灯がともされる。
この感じはたまらない。

ハリーポッターシリーズ以来、優生思想を軸とした保守的価値観と自由や平等を重んじる理想主義的価値観のせめぎあいがテーマとして大きな質量と体積をもつのはお約束。

ファンタスティックビーストの時代。
世界は正にそうした価値観の対立する時代であった。
今回提示される舞台の一つはドイツ。
言わずもがなのアナロジーが、時代と本作の親和性の高さを観客に印象付ける。

我々は本作の時代の世界史を知っているし、ダンブルドアの末路も知っている。
そうした既知の未来から我々は物語を俯瞰する。
現代は新たなる対立と分断の時代となった。
ウクライナやパレスチナの現状を未来から俯瞰する目にはどんな物語が見えるのか。
そこではハリーやハーマイオニーが理想の為に戦っているのかも知れない。

蛇足ながら。
ドイツ人の指導者アントン・フォーゲルが、ヘルマン・ゲーリングに何処なく似た感じなのには笑った。
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