こぐまくん

ヘイル、シーザー!のこぐまくんのレビュー・感想・評価

ヘイル、シーザー!(2016年製作の映画)
3.0
マネーショート級の予告詐欺!
いや、あの予告の様なゴージャスな映画を期待していた人にとっては笑
まぁ、それはないわな〜と思って観たけど。

身近に映画の仕事をしてる人がいます。まったく外の人間からすれば映画現場のハードさって職人達が芸術のためにしのぎを削って魂をぶつけ合うアーティスティックな場所であるところ!と思いがちだけど、話を聞いてると、結構普通の会社勤めと変わらない仕事の積み重ねの上に”夢を売る”が、成り立ってるのねぇ、なんておもう。
”アメリカの夜”でも描かれていたそういう部分が本作ではコーエン兄弟の皮肉っぽさ満点で描かれていて笑えた。でっかいスキャンダルを揉消す為に、別の小ネタをでっちあげたり。ほんとにある話なんだよね〜〜。やっぱ人間の作ってるものだから、その裏側では人間臭さからは逃げられない。
でもお得意の皮肉や風刺たっぷりの中に彼らの映画の力を信じる愛は感じられた様に思う。

あと他愛もないシーンだが”大雨で撮影が進まない映画をいっそ気象モノにしろ!”っていうとこ、映画伝説あるあるぽくて萌えた。
現実、実際撮ったはいいが長すぎたのでコマをおとしました!とか脚本長すぎたけど絶対切りたくないから俳優にめちゃ速く喋らせました!とか、そういう半ばやけくそとも思える打開案を打ち出さなければ、時々映画はどうにもならなくなる…そういう性質を”もういっそ変えちゃう”っていうストレートなギャグじゃなくて、”そんなギャグみたいなことしなくちゃいけなくなる映画の性質”をギャグにしてる感じ!笑
結果それで傑作が生まれたりするのが本当に愛おしくて映画が好き。コントロールフリークな監督もいるけど、基本的に映画は焼きあがるまでわからない陶芸みたいなものと感じる。いや、陶芸以上にわからないと思うけど。その後についてくる”歴史に残る傑作でありながら、監督は実はその作品好きじゃない”とかのトリビアも好き笑

ていうか、チャニング・テイタムはほんと愛さずにはいられないな!!笑
今度は誰がチャニング・テイタムで笑わせてくれるんだろ。
あと、スカヨハの使い方も最高だった。キャリアを重ねて今やハリウッドセレブになった自身をメタ的な笑いにしてる感じ。あのダミ声よ。
私が映画女優だったらコーエン兄弟の作品、絶対出たいな。

すみません、本作の大部分を占めてる赤狩り等に関しては知識が浅すぎたのでもうちょっと勉強します…笑
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