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心が叫びたがってるんだ。のかずシネマのレビュー・感想・評価

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)
3.4
実写版未見。

彼女は場面緘黙症かと思う。
いたよ、小学生の頃の同級生に。
ごく普通に過ごしてた。ジェスチャーや筆談でどうとでもコミュニケーションはとれたし、先生も分かっているから音読には当てない。出席は挙手。
たった1人だけ、その子が喋っても平気な友達がいた。でもそれも耳打ちでしか駄目だった様だ。
自分達の場合、卒業式の「6年○組、○○」という点呼で初めてその子の声を聴いた。
物凄く頑張ったのだと思う、その子。

お城のホテルって紛らわしいよな。
HOTELは普通に読めたので、自分も子供の頃に親に言ってしまった事がある。
「お城に泊まってみたい」と。
当然、場が凍ったのでマズイ事を言ったのはすぐに分かったけども。
その後数年経ってからちゃんとした理由が分かって、たまに「言ってしまった」と思い出してはエレカシ宮本浩次みたく頭を掻きむしりたくなるw

お城で舞踏会が云々と言うのはランドセル背負ってる歳ではちょっと有り得ないかなぁと思う。
ごっこ遊びならあるだろうけど、女児ってもっと大人だよな。
マズイ空気が読めないのはその子供によるのかなぁ…。
理由が分からなくても空気の重さが読めないほど鈍感じゃないと思うんよな、子供って。
むしろ大人より遥かに敏感な気がするんやが。
まぁアニメだからな。

だけど両親、特に父親は酷いな…。
「お前のせいで」って自分に言ってんの?と。
あんな小さな我が子にそんな事言うなんて…多分冒頭のアレが無くても駄目だったと思う、この人。モラハラやりそう。
母親は独りで娘を守ろうといっぱいいっぱいになっているから、という理由付けは出来るけど、やっぱり酷いと思う。
娘と向き合う向き合わない以前の問題で、あれは只反抗心で黙っているのとは違うって分かるやん。なんで分からんの?と。
娘が反抗的だと決めつける前に適切なケアをしてあげなきゃならないわ。


テーマがかなり生々しい普遍的なものだった分、一部のキャラクターの漫画やアニメやラノベなんかによくある独特の性質との落差が少し気になった。
あの花みたく、内容がもっとファンタジーに振っていたら多分これだけは気にならない。
終盤のシーンはちょっとご都合主義の強引さを感じる。
また、性格の悪さも感じる。
声を出す出せないとはまた別のところで長年の拗らせはあっただろうけれど、あれは流石に無い。
どれだけ本音だ素直な考えだといっても、口に出して言って良い事と悪い事がある。
あれのおかげで結局彼女は子供の頃(母親に対する暴言があった)と根本的な事が変わっていないんだな、という印象しか持てない。成長の話なのに。
それと、込み入った痴情のもつれはちょっとノイズだったな。
告白しに行く、くらいなら邪魔にならないけど。


オーディオルーム、西本智実っぽいジャケットのレコードがあった。
作品の音楽はクラムボンとコトリンゴで統一したら良かったのに…と思う。
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