高橋直希

心が叫びたがってるんだ。の高橋直希のネタバレレビュー・内容・結末

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』でタッグを組んだ長井龍雪(監督)+岡田麿里(脚本)+田中将賀(作画)=超平和バスターズが再集結してつくられた映画です。

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成瀬順の「いい加減に……いい加減にしろ!『消えろ』とか、そう簡単に言うな! 言葉は傷つけるんだから! 絶対に、もう、取り戻せないんだから!」は本作のテーマを象徴しているセリフだと思いました。ロゴの下には「Beautiful Word」と。

言葉、言葉、言葉──。

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[成瀬順の書いた文章を読み上げる]坂上拓実「『夢見がちな少女は、城で毎夜行われている舞踏会に憧れる。しかしその舞踏会は……』」
成瀬順「ぁ、ぅ……」
坂上拓実「『しかしその舞踏会は、実は罪人たちの処刑場だった。彼らには罪を償うため、死ぬまで永遠に踊り続けなければいけないという呪いがかけられていたのだ。』…」
成瀬順「…『その真実を知ってもなお、舞踏会へ行きたい少女は、さまざまな犯罪を重ねる。しかしそれらは誰にも罪に問われることはなかった。絶望する少女の前に謎の玉子がやってきて、そそのかす、「この世界でもっとも重大な罪は言葉で人を傷つけることなのだ」と。少女は考えつくだけの悪口を言いまくり、人を傷つけ、人に嫌われ、そして気がつくと』…」
坂上拓実「…『言葉を失ってしまいました。言葉を失った少女のもとに、王子様が現れる。王子様と出会ったことで、少女の中に愛の言葉がどんどん生まれてくる。しかし少女は、それを声にすることができない。そしてあるとき、王子様が暗殺されそうになり、玉子の策略により、犯人が少女とされてしまう。声が出ないため誤解を解くことができなかった少女は、いままで自分が傷つけた人々につかまり、処刑されることになる。王子が見守るなか、処刑台の上で首をはねられる少女。すると少女の首から言葉が溢れはじめる。王子を愛してる、と。』」

──言葉、言葉、言葉。

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ちなみにこの映画でいちばん好きなやり取りは……

成瀬順 「坂上くんのせいで、とか絶対そんなことないです!」
坂上拓実「えっ? ふふっ、だったら成瀬の家のことだって、俺はお前のせいだなんて思えないよ。きっとそんなもんなんだよなー。何かが、誰かが100パー悪いとか、ダメとか、そういうのってきっとない。」
高橋直希

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