エミさん

WEEKEND ウィークエンドのエミさんのネタバレレビュー・内容・結末

WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ああ、やっぱりこの作品も切ないよぉぉ〜。
モヤモヤして胸が締め付けられた《(;´Д`)》

アンドリュー・ヘイ監督長編2作目、2011年制作の作品。
男性同士の成就しない切ないラブストーリー。
当時、LGBTQ映画のトレンドを形成したと評された伝説の作品。
この監督さんの作品は、切なさを表現させたら天下一品というくらい、全作品が違う切なさで一杯なんだよなぁぁ…(ノд`)**

主人公ラッセルには気のおけない男女の友達が居る。プールでの救助監視員という仕事も持っている。アパートの高層に一人暮らし。ロードバイクで職場まで通い、雑貨は全てリサイクル品を好んで使っている。中流の普通の暮らしをしている青年に見えるが、違うのは、両親や頼れる親族の居ない孤児であること。そして、寄り添える『特別な』恋人が居ないことだ。
職場でも友達の家でも、なんとなく馴染んで話を合わせて付き合ってはいるが、そういった普通の安定は心にできた隙間を埋めてはくれず、夜な夜なクラブに寄っては相手を探す、どこか漂うような毎日を送っていた。
ある週末、友人たちとのパーティーを抜け出して行ったクラブで、自称アーティストのグレンと出会う。グレンと過ごした2日間は、封印していた箱を開けるような痛みと好奇心 を味わった。もっと自分の殻を破りたいという衝動が湧いたラッセルは、グレンに興味を持つのだが、グレンには受け入れられない事情があり、結局、週末の交流だけで別れてしまうのであった。
心を掻き乱されて後を濁されたラッセルは打ちひしがれて泣くしかない。週末が明けても、前以上にポッカリ穴が空いて放心状態で部屋の窓から外を眺めるラッセルを映したまま、画面に『WEEKEND』と表記される。ENDの字が赤く色付いていた。その表示を見たら「ああ、もう本当に終わってしまったんだな…」と現実を突きつけられたようで、ラッセル以上に哀しくなってしまった。

せめて映画の中ならハッピーエンドであって欲しいと思う。
でもこれが現実。出会いは何処にでもあるのに、そうたやすくハッピーにはならない。
ノンケの中には日常転がってはいない独特な世界かもしれないが、特別な感性を持っているLGBTQの人達にとっては、人の数だけ沢山の恋愛のカタチがある。心が惹かれるだけでは先に進めない、こだわりや社会的障害もあるのだ。それをこの作品は綺麗に脚色して表現してくれていた。描写も自然体で機微が汲み取れる綺麗な映し方で、とても良かった。写実的だからこそ、辛酸を舐めたような辛さを見せつけられて、同じように打ちひしがれることができるんだろうなぁと思った。
好きで沢山のLGBTQ映画を観てますが、色んなカタチの恋心があるんだなぁと知れて良かったと思えました。
アンドリューヘイ監督が好きになる作品です。