MikiMickle

ピエロがお前を嘲笑うのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ピエロがお前を嘲笑う(2014年製作の映画)
3.8
警察に出頭してきた天才ハッカーのベンヤミン。
彼が、自分と、その組織CLAY(Clowns Laughing At Youの頭文字)について話し始める所から、この映画は始まる。
地味で目立たず、暗い過去を持ったベンヤミン。14歳でハッキングを始めた彼は、スーパーヒーローに憧れていた。ダークネットにはMXRという天才ハッカーが重鎮しており、彼に尊敬の念を抱いていた。
ある日、学生の時に片想いしていたマリと再会し(向こうは覚えてない)、彼女のために大学のテストを盗もうとするが失敗。
罰となる社会奉仕中に出会ったマックス。同じくハッカーだった彼やその仲間とCLAYを結成し、ネオナチや金融会社、製薬会社などをからかうような、非営利的ハッキングを行う。
それは、社会を賑わすニュースとなり、世間から注目されるが、MXRや警察からは小物扱いされ、軽視されてしまう。
MXRを見返そうと、連邦情報局という大物のハッキングに挑んだ時に、ベンヤミンが出来心で盗んだ機密情報。
それが引き金となり、殺人事件がおきてしまう。
そして、次に狙われるのは自らの命… 危険性を感じて、出頭してきたというわけだった。
しかし、ベンヤミンの供述には…

って話。


これ、宣伝文句がすごかった。チラシも凝っててトリックみたいになってたり、この映画に仕掛けられたトリックは100%見破れない‼とか、ハリウッドリメイク決定‼とか。

で、問題のオチなんだけど、
宣伝文句がまぁすごいから、それに乗せられて期待して、ま、それね~、あぁ、そんなもんね、やっぱりね。となり、あ、そっち‼となるけど、
そんなに欺かれた感がないのはなんでだろ
なんか、く~‼騙されちまった‼感がない…

期待値を上げすぎな宣伝のせいなのか。
あと、ベンヤミンの部屋の、ある映画のポスターのせいですね。

そして、辻褄があわない。私がバカだからなのか、火事の事がわからない。家が残ってる時点で、警察は気づくはずですけど…と。うむむ。
MXRとのラストの対峙も、うまくいきすぎ感が否めない… 一気に天才っぷりを発揮してますけど…
そこはどうしても気になる。


でも、騙された事は確か。見抜けなかった!!
そして私は見方を間違った‼‼

そもそも、騙しますよ‼って設定なんだから、猜疑心を持ちつつ、素直に騙されて、あちゃ~‼ってのが正解だと思う。それを楽しめばよいのだと思う。

「人は見たいものしか見ない」という台詞。
これは深いです。

で、音楽がよい♪ エレクトリックでヘビーでかっこいい。
小島よしおみたいに赤パンツでそんなのかんけぇねぇダンスを踊る仲間も面白いw

ダークネットを地下鉄の閉ざされた電車に例え、そこにいるユーザーが怪しい仮面を被っているのも面白い。
不気味なダークネットの世界観を表しています。
この映像、好き。

そして、ソーシャルエンジニアリング、ハッカー、ネットの闇、裏側が垣間見れます。サイバーマフィアとか、いるんだ‼って。
サイバーテロってほんとネット上だけで行われているものだと思ってたんだけど、案外リアルに体を使うんだなと。 ゴミ、漁るんだぁ(笑)と。
ネット社会の怖さも感じます。

で、これは、ベンヤミンの成長物語なのです。
ダークな家庭環境に育ち、学校では“透明人間”の如く扱われ、ピザのバイトもバカにされ、いてもいなくても関係ないような、そんな存在。
痴ほう症のおばあちゃんの世話をして…
中学生の時に好きだったマリと再会してもうまく出来ない。女の人の前では“Windowsみたいにすぐに固まる”。
そんな彼が、自分の潜在能力に気づき、
自分のアイデンティティーを少しずつ掴んでいく映画なのです。
今の時代、どんでん返し的サスペンスというものはかなりあり、新しいものを作り出すのはなかなか難しい。
どうしても似かよってしまう。

そんな中で、二番煎じな所はあるけど、新鋭監督がここまで作ったのは、かなり誉めポイントだとおもいます。
MikiMickle

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