葛西ロボ

世界の終わりのいずこねこの葛西ロボのレビュー・感想・評価

世界の終わりのいずこねこ(2014年製作の映画)
2.8
 「ワンダフルワールドエンド」と配給、スタッフ、蒼波純、動画配信、世界の終わりを掲げたタイトルと、いろいろ被っているところはあるが、こちらはいずこねこというコンセプトアイドルと西島大介の生み出したバリバリのSF世界。のはずだったのだが……。
 映画としての話の運び方が、ほんとうに眠たくなるほど単調で。これ演出とかにも問題あるんだろうけど、ちゃんと指摘できるほど咀嚼もできませんでした。
 ニコ動テイストのコメントは全部監督がテキストを打ち込んだらしく、そこはネットカルチャー出身者として流石だなと。コメントの反応が一本化してはいたけど、全然違和感無かったし、「ワンダフル~」におけるツイキャスとの差異――よりコンテンツ化された空間が感じられた。
 クラスメイトが全員地下アイドルで、担任が棒読みの西島大介で、蒼波純はやっぱり蒼波純で、周囲を固める配役や話自体が特殊すぎることもあって、ヒロインのイツ子(いずこねこ)の天真爛漫っぷり=アイドル性がどうにも浮ついて見えるところがあったかもしれない。
 SFとしても低予算のために設定と台詞でカバーしている部分が大きくて、むしろ淡々とした日常にあくびが出てしまい、センスオブワンダーを感じることができなかった。
 アイドルの世界観を映画にするという出発点からして、これはアイドル映画に他ならないのだが、そのオーディエンスが姿の見えない「コメント」というところに未来ではなく、むしろ現代の面白さがあったように思う。
 僕は「おんなのこきらい」「ワンダフルワールドエンド」「世界の終わりのいずこねこ」を3本立てで見たので比較に出したいんですが、本作はこの中で最も虚飾にまみれた女の子を描いているんです。描いてはいるんですけど、虚飾というのは周囲の大人たちによって形成されるもので、女の子自身は本当にまっすぐ、それこそ無知のままアイドルとして中心に立っているんですね。そんな存在が、いや、そんな存在だからこそ世界を救ってしまう。みたいなSF的転換が、わりとばっちり嵌まっていたのは良かったと思います。
 映画畑の人間ではないからこそ、むしろ常識を打ち破るような作品を生むかもしれない。そんな可能性が感じられなくもない映画でした。