うめ

ナショナル・ギャラリー 英国の至宝のうめのレビュー・感想・評価

3.6
 ロンドンのナショナル・ギャラリーに密着したドキュメンタリー。3時間ほどある上映時間もあっという間の、非常に興味深いドキュメンタリーだった。

 ナレーションは一切なし。静かな館内の様子や絵画、絵画を鑑賞する人々を丁寧に映し出す。その一方で、学芸員やギャラリーのスタッフたちの様子が描かれる。絵画の解説、展示の準備、デッサンのセミナー、絵画の修復、予算の会議等々…美術館の裏側を覗き見ているような気持ちになります。

 その中でも、時々入る各学芸員の絵画の解説がとても面白かった。絵画の知識が無くとも、作者の意図と制作背景などを語ってくれるのでとてもわかりやすい。さらに学芸員がそれぞれ自らの視点を持って、絵画を解釈し解説してくれているのが興味深い。「私はこの絵画を見てこう思いましたが、あなたはどう思いますか」と語りかけてくれているようだ。絵画に限らず、知識云々ではなく、作品と向き合い主体的に捉えようとする姿勢が大事なのだと改めて思った。

 美術館にはあまり足を運ばない私だが、今作を観て美術館に行きたくなった。静かな空間で、絵画と向き合う時間はきっと幸せな時間なんだろうなぁ。
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