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ここに泉ありのmhのレビュー・感想・評価

ここに泉あり(1955年製作の映画)
5.0
市民オーケストラの黎明期を描いたミュージックエンタメ。
・戦後の高崎の様子。
・独立プロならではの日本映画オールスターキャスト。
・独立プロならではのボランティアを動員した大量エキストラ。公演シーンはもちろん、買い出し列車のとこすごい。
・今井正+水木洋子のゴールデンコンビ。
・山田耕筰を演じる山田耕筰(本人)の使い方が激ウマ。
説明なし話を進めるので、想像が刺激されて大変面白い。
最後の公演大成功!からの数年後、山田耕筰もすごいし。市民オーケストラで指揮棒を振る山田耕筰が燕尾服来てるのとか、うますぎてうっとり。
作中で歌う「赤とんぼ」の作者様なんだよなぁ。こういう映画に特別出演してくれる別ジャンルの大物著名人の使い方がこれまで見た映画のなかでいちばんうまいかも。
演奏シーンにたっぷり時間割くのもよかった。アカペラで歌いだすくだりはかなりの名シーン。この映画自体が、市民の情操教育にもってこいであるよう作られている。なんでも公開版は176分だったとのことで、岸恵子の鳥目のくだりが中途半端だったのはそのせいだね。
「君の名は」三部作の大ブレイク直後で、宿泊所が大変だった話も小冊子に乗っている。
経営が苦しくても、ひとに馬鹿にされても続けてきたことで認められたという話なのに、監督は演奏を東京交響楽団に頼むし、撮影スタッフから嫌味をいわれたというリアルメンバーがかわいそうだね。
あまたある音楽を題材にしたサクセスストーリーのエッセンスがすべて揃っているという点だけとってもかなりの映画だと思う。
まあなんといっても山田耕筰だよ。面白かった!
mh

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