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ここに泉ありのturkeyのネタバレレビュー・内容・結末

ここに泉あり(1955年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

群馬県民で演奏を聞いた事がない者はいないとも言われる群馬交響楽団の苦難の黎明期を描いた作品。(群響は発足からの活動として県内の小学校を巡回演奏してるので県民なら皆、聴いているとか)

戦後間もない頃、喰うのに精一杯の時代。クラッシック音楽など一度も聴いた事ないのが普通の庶民、そんな中での演奏会、客は退屈の余り帰宅続出、或いは子供たちが走り回る遊び回るの惨状、漸く、一人の女の子からお礼の野花を貰い、嬉しさの余りアカペラでスキップする団員達を横移動で捉えてるシーンが良い。(ジャケットのシーン)

どうやっても喰っていけず解散の危機、そして、突然の再生(笑)、山田耕筰(本人)が指揮する東京と群馬の合同演奏会、演奏される「第九」をバックに県内で楽器を担ぎ、歩きで、バスで、トラックの荷台で移動する楽団員の艱難辛苦、青空と白い雲の下、団員達が一人ひとり楽器を担ぎながら峠を越えていくラスト、音楽と映像の融和という点では「砂の器」の先駆けであり、「サウンド・オブ・ミュージック」の「すべての山に登れ」のシーンにも似ていて感動的。

※音楽映画なのに録音状態が悪いのはちょっと痛い、群馬県も群響が「県の誇り」と自慢するなら、ボロボロのフィルムをとっととリマスターしなさい。(総理大臣、何人も出してる癖に)
※三井弘次の酔っぱらいシーン、10年後の「赤ひげ」と変わらん。
※短いシーンだけど鉄道ファンには両毛線のC50型機関車、草軽鉄道が見られます。
※大滝秀治さんの映画デビュー作?かな、台詞は無かったと思う。(最初の方の練習シーンに居た記憶がある)
※前掲の「同胞」の感想中で本作にも少し触れてます。
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