ふき

ドラキュラ'72のふきのネタバレレビュー・内容・結末

ドラキュラ'72(1972年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

「ドラキュラ・リー」の第六弾。
一九世紀末から時代を一気に飛ばし、二〇世紀末に舞台を移した作品。
第四弾の『血の味』に近い展開で、若者グループが謎の少年「ジョニー・アルカード」にそそのかされ、ドラキュラを復活させてしまう。全体的にはドラキュラ黄金パターンなのだが、そこに現代のテイストが加わることでどのような変化が起こるかというと……なにも起こらない。
ドラキュラは復活した廃教会の敷地から一歩も外に出ないため、ドラキュラが登場する絵は一九世紀末からなにも変わっていない。自動車の行き交う道路を我が物顔で闊歩したり、夜空を切り取る摩天楼をバックにマントを広げたりもしない。「ロケに行く予算がなくなっただけ?」と邪推してしまうくらいで、むしろ舞台が公開当時になったことでゴシックホラーの雰囲気が消え、凡庸なホラー映画の空気感となってしまった。
更に悪いことに、本作の見どころであるクリストファー・リー氏とピーター・カッシング氏の直接対決も、正直不満だ。というのもカッシング氏演じるヴァン・ヘルシングは、当然だが第一弾の『吸血鬼ドラキュラ』のヴァン・ヘルシングの子孫にあたるため、因縁の対決感が薄いのだ(この感じ方は個人差があると思う)。
上記により、ドラキュラを現代に連れてきたメリットが、デメリットに飲み込まれた格好となった作品だった。
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