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パリよ、永遠にのkakkoのレビュー・感想・評価

パリよ、永遠に(2014年製作の映画)
4.3
原題はDiplomatie(駆け引き)。
見応えのある映画でした。こういう質の高い小品が好きです。あの「ブリキの太鼓」のシュレンドルフ監督さすがです。役者も超一流。
 ほぼドイツ人将校コルティッツとスウェーデンの外交官ノルドリンクの息を飲む対話だけで進行するシンプルな構成。舞台の脚本の映画化だそうです。パリの街を木っ端微塵に爆破せよ、というヒトラーの命令をめぐって2人の言葉の駆け引きが痺れます。
 ヒトラーはパリを愛し、欲しくてたまらなかった。ベルリンを破壊された腹いせにこの街を無きものにしてやろうという幼児的思考から、部下の逃げ道を塞いだ上で命令を下した。ほとんどの戦争は結局のところ、こうした為政者の幼児性が原因なんですね。
 映画作品として見事です。ベートーヴェン交響曲第7第2楽章から始まり、エンディングはシャンソン、セーヌ川から眺めるパリ風景という演出がたまりません。
 同テーマの米仏合作「パリは燃えているか」(1966ルネ・クレマン)はアラン・ドロン、ジャンポール・ベルモンド、イブ・モンタンからカーク・ダグラスまで、各国オールスター揃い踏み、パリの街を舞台とした戦闘場面あり、ドゴールの凱旋パレードあり、笑いあり涙ありのてんこ盛り。豪華スペクタクルでエンタメとしては楽しませますが、これは全く異なる作り方の作品です。
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