美しい映画を見た。
高校生の頃からの恋人が死んだ。バス事故で死んだ恋人だったはずの人の横には、別の女性がいた。女は心を閉ざし、何故か玄関でしか寝られなくなってしまう。傷心のまま、死んだ恋人の親友と寄り添う彼女は、また歩き出せるか?
自然光で撮っているのかと思うほど、抑えた露光で室内を撮る。閉ざした彼女の心をそのまま映したようだ。柴山健次監督曰く、テレビドラマのようなスピードではなく、昔ながらのゆったりとした日本映画の雰囲気を大事にして撮ったという。そして最後の最後にハッとさせられるほどのラストを迎えるのだが、抑えた演出は全てこの時のためにある。
ただ、監督の意図する最後の演出まで、このスローテンポな演出に引き込まれて見ていられるかどうかは、好みが大きく分かれるところだろう。最近のマンガ原作などに慣れきった人などには、ただ退屈に映ってしまうかもしれない。
主演はこの作品で主演した後にNHKの朝ドラで人気に火がついた波瑠。妹役には黒島結菜。万人向けではないが、波瑠を見ているだけでも美しい、柴山健二監督入魂の作品だ。