一人旅

スター・トレック BEYONDの一人旅のレビュー・感想・評価

スター・トレック BEYOND(2016年製作の映画)
5.0
ジャスティン・リン監督作。

人類への復讐を誓う異星人クラールとカーク船長率いるエンタープライズ号クルーの戦いを描いたSF。

「スター・トレック」新リブートシリーズの第3弾。第1弾『スター・トレック』(2009)と第2弾『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(2013)で監督を務めたJ・J・エイブラムスは製作に回り、新監督は台湾系米国人のジャスティン・リン。主演はクリス・パインで、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグらお馴染みのメンバーが脇を固める。また、クルーの一人、パヴェル・チェコフを演じたアントン・イェルチンは2016年に27歳で事故死したため本作が遺作となった。登場人物は旧作品とほぼ同じ(+新キャラ)で、ストーリーは独立しているため旧作品の復習をする必要はないが、スポックとスポック大使の関係性(スポック=スポック大使。同一人物。)だけ押さえておいた方がストーリーをより愉しめる。

今回の敵は謎の異星人クラール(イドリス・エルバ)。前作で敵を演じたベネディクト・カンバーバッチと比較すると知性&スマートさに欠けるが、その分凶悪性&醜悪性が前面に出された悪役丸出しの風貌が凄烈な存在感。古代の生物兵器を使い、人類の大量虐殺を企む異星人クラールとカーク船長らクルーの戦いを、未知の惑星&宇宙空間双方で繰り広げられる熾烈な激闘シーン全開で活写してゆく。クルーからの引退を検討中のカーク船長&スポックの友情や、未知の惑星で新たに仲間になる原住民ジェイラ(ソフィア・ブテラ)との共闘など見所も多く、最後まで飽きさせない作劇。何より嬉しいのは、怒涛のクロスオーバーで理解が追いつかないMCUとは違って、本シリーズは鑑賞者にとても優しい設計。旧作品の内容を忘れている(もしくは観ていない)人も問題なく鑑賞できる。近年は(どうでもいい凡作まで)やたら続編が多く、その度過去作品の復習をしなければならないのが少々面倒だったが、お話が完全に独立している本シリーズは本当に鑑賞しやすい。ありがとう、J・J・エイブラムス。

CGをフル活用した迫力&臨場感溢れる戦闘シーンの連続。“ハエ”の大群のような敵集団相手にアナログチックな奇策で立ち向かう主人公たちの奮戦は圧巻で、宇宙空間に巨大な黒波が発生したように見える映像が小粋。宇宙空間での激闘のみならず、未知の惑星における地上戦もスピーディー&キレのある映像の奔流。激闘の最中でも決して仲間を見捨てないカークの勇敢な行動もかっこいい!

映像・アクション・ストーリー、すべて上出来の新シリーズ第3弾。
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