千年女優

バケモノの子の千年女優のレビュー・感想・評価

バケモノの子(2015年製作の映画)
2.5
離婚により父が去り、共に暮らす母も他界した九歳の少年・蓮が、母方の親戚の養子になることを拒否して彷徨っていた渋谷で熊に似た「バケモノ」の容姿をした熊徹と出会い、彼の住む武術で宗師を決める別世界「渋天街」へ赴いて弟子となって青年へと成長。やがてそれが現実世界をも巻き込んだ騒動に発展する様を描くアニメ映画です。

アニメならではの現実世界とファンタジー世界を平行する世界観を描くことの多い細田守監督による長編映画で、興行的成功を収めた過去二作の要素、『サマーウォーズ』の子供による世界の救済と、『おおかみこどもの雨と雪』の人と人ならざる者の交流を組み合わせたような集大成ですが、良いとこ取りではなく猥雑さが目に付く一作です。

そもそも現実世界と異世界の交錯を描くファンタジーは日本ではありふれていて、本作は全体的に『千と千尋の神隠し』と『BLEACH』を混ぜて薄めたような印象です。加えて彼の作品には抜群の背景描写の一方で常々キャラクターと食べ物の描写にあまり魅力がないと思えるところがあり、それがこの類の物語では致命的な欠点に感じられます。
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