せいか

バケモノの子のせいかのネタバレレビュー・内容・結末

バケモノの子(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

金曜ロードショーで観た。二回目の試聴。

本作は主人公二人の成長を描くものなのだろうと思う。特に人間であるキュウタロウが、社会へ参入するほうへ前向きに歩み出すための物語であり、父親との折り合いをつける物語でもあり。
とはいえ、この監督の作品はだいたいいつもそうなのだが、物語全体が雑な感じがやはりする。語らないことに意味があるとかではなくて、点と点がめちゃくちゃ間断されまくっているのに無理やり繋げている感じ。それで、なんか無理やりハッピーエンドにもつれ込むみたいな。

かの名作『白鯨』を意識した内容にもなっているが、あまりそこも活かされているとは言えないというか、あくまで表面的に利用している程度のところでしかない。もちろん、鯨と重なる相手(同じ人間であり闇に飲まれた相手=自分の影=打ち倒すべきものとも言い換えられる存在)を打ち倒して成長することというユング心理学でも語られているような物語の王道をあえて白鯨をモチーフにしてやったというのは分かるのだが、上記したとおり、点と点が無理やり繋げられて話が展開するので、そこに大して感動らしい感動の念が出ることもない。物語の方向性はすごいことを目指してるはずなのだが。

対鯨戦時のヒロインの怒りの叫びも唐突に感じるくらいだったのとかもう少しソフトに持ち込めなかったものだろうかと思うのではあるけれど、あれでは相手に己の無理解をぶつけている暴力性さえあるのがあまりにひしひしと感じられたので、もはや故意でやってるんだろうなあとも思いもする。先週放送されたおおかみこどもを観ていてもしみじみ感じたけれど、対話することを書き手があえて拒絶してるような作品をつくっていると思うのです。
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