馮美梅

バケモノの子の馮美梅のレビュー・感想・評価

バケモノの子(2015年製作の映画)
3.8
人間の少年・蓮とバケモノの熊徹、そして猪王山とバケモノだと思い育てられた人間の子・一郎彦。

愛情を受けながらも、いつか父のように自分も猪になれると思いながら、事実は残酷で、愛情をもって育てられても、自分がこの世にとって異質の存在だという事に無意識に悩み、故に人間の久太(蓮)に嫉妬や憎しみを感じずにはいられない。

久太は熊徹と最初こそなかなかうまく行かず大変だったけれど、いろんな仲間と人間世界で知り合った楓との出会いで少しずつ自分のやりたいことを見つけていく久太。

父親との再会も、自分を捨てたり忘れたわけではなく、多分、母親の親戚づきあいなどで色々苦労した末の離婚だったのかもしれない。(男の子が蓮だけだったという事で跡取り候補だったみたいだから)

バケモノの世界と人間の世界の狭間で自分がどう生きるべきなのか悩む蓮。そんな時にバケモノの世界では宗師を決める決戦が始まった。

押され気味だった熊徹だったが、久太のサポートもあり、次期宗師に熊徹が決まったと思われた矢先、一郎彦の心の闇が爆発し、最悪の状態に…

自分の心の闇を一郎彦も持っていることを知った久太は何とか一郎彦と対峙することに。自分も一歩間違えば一郎彦のように心の闇に飲み込まれ同じような事をするかもしれない。彼を止められるのは自分しかいないと…

そんな久太のピンチに熊徹が自ら顧みず下した決断。
初めて会った頃久太に言った「心の剣」に自らなり、久太(蓮)の心の中で生き続けることを選択した熊徹。

半端者同士の熊徹と久太。どうしようもない2人が少しずつ成長していく姿、そして蓮にとって人間世界での人生で知った人たちと出会いでさらに成長していく、一歩ずつ、一歩ずつ大切な人と生きて行く主人公の蓮、そして暗闇から抜け出した一郎彦と家族の人生を願うのみです。

細田さんって作品ですよねやはり(笑)
馮美梅

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