とむ

怒りのとむのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.1
生きることの根幹にかかわる重々しい問いを投げかけられた映画だった。

自分自身や他の誰か、何かを信じて生きていくということ。この映画の登場人物たちと状況は違っていても、どんな人の人生にだって何を信じて生きていけばいいのかという悩みは絶えずつきまとってくる。

映画を見終わった後に自分の心の中に広がっていたのは、やっぱりどれだけ追い詰められたとしても心の一番奥底では人間というものを信じていたい、それを諦めたくはないというすがるような思いだった。
そうでなければこの人生はあまりに理不尽で、自分という存在は心許なく無力なものだと思うから。

過酷な物語ではあるけれども、そういう胸の中に眠っていた揺るぐことのない希望を再認識させてくれる。その思いを忘れることなくこれからの日々を生きていくことができたら、それ以上に有意義な鑑賞体験はないのではないか。
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