エイデン

シン・ゴジラのエイデンのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

東京湾、横浜沖
漂流中の無人プレジャーボートが発見され海上保安庁が調査に入るが、その途中 突然海中から爆発のような水しぶきが発生する
東京湾アクアラインの海底トンネル内でもその影響で亀裂が入り浸水事故が発生していた
事件発生を受けた首相官邸では、官邸連絡室が設置され緊急会議が開かれることとなり、内閣官房副長官の矢口も大河内総理の到着を待ちながら情報の収集に努めていた
事故発生の原因は謎の水蒸気煙が覆っていることから海底火山の噴火かと思われたが、矢口はどこか違和感を感じる
事態を重く見て、官邸対策室の対応としながら避難が進められるが、同時に大河内総理を招いてのレクでは、あらゆる原因の可能性が話し合われていく
そんな中 矢口は、現場で撮影された市民の映像を証拠に、海底に巨大な生物が潜んでいるのではないかと訴える
当然のようにその意見は否定され、総理大臣補佐官の赤坂から会議をかき回すなと忠告を受けてしまう
後の対策会議では、海底火山の噴火を視野に対応策が話し合われるも、その最中 現場では生物のものと考えられる巨大な尻尾が現れる
その様子はテレビ中継されて会議の場にも届き、事態急変のため会議は中断
尻尾の持ち主を“巨大不明生物”と呼称し、各方面から有識者会議を行う準備と共に対応策が改めて話し合われる
しかし駆除、捕獲、湾外への排除と意見は割れてしまうのだった
更に巨大不明生物も多摩川方面へと移動を始め、有識者会議でも依然として正体は掴めない
時間を無駄にしているうちに巨大不明生物は多摩川を上流に向けて移動を続ける
矢口は生物学に詳しい環境省自然環境局野生生物課課長補佐の尾頭を召集、彼女は移動の様子から上陸の可能性を示唆した
しかし学者の意見としては、上陸すれば自重で動けなくなるためあり得ないとされ、忖度した環境省大臣もそれを重視し大河内総理に進言
その情報をもとに会見を開くこととなるが、大河内総理は不確定事項を伝えないほうが良いという赤坂の意見を無視して、上陸はありえないと断言する
しかしその最中 巨大不明生物は蒲田に上陸、避難できなかった市民に甚大な被害をもたらす
対応策も無い中、やがて“ゴジラ”と呼称された巨大不明生物によって、日本は未曾有の危機に陥っていく



実写『ゴジラ』シリーズ29作目
『ゴジラ FINAL WARS』で終幕を迎えたシリーズを、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明と、平成『ガメラ』シリーズの樋口真嗣によって復活させた作品

「現実(ニッポン)対 虚構(ゴジラ)」のキャッチコピーの通り、現代日本に怪獣が現れたらというイフを、その対策に追われる公務員達の視点から描くというシリーズでもかなりの異色作

文字とセリフで押し寄せる圧倒的な情報量の数々
豪華俳優陣の早口言葉選手権のようなノリで進む会議で、展開のテンポが凄まじい
そんな話劇主体のポリティカル・アクション風の作り
旧『ゴジラ』シリーズではバンバン活躍していた自衛隊も、1発攻撃するのに会議はいるし総理の許可もいるという徹底したリアル路線
というか余裕ぶっこいて対策遅れるとか、アメリカに頭上がらないとか、どこかで見たことある、笑えるけど笑えないリアルさの追求は新鮮で面白い

そんなリアル世界に対してタイトルロールのゴジラのデタラメっぷりも強化されているのが特徴
狂気的な顔立ちや風貌に加え、形態変化まで会得
お馴染みの放射熱線もとんでもないことになっている
怪獣という存在を超解釈し、これまでに無い飛躍したゴジラ像は、作中の言葉を借りれば“人智を超えた完全生物”
純粋に怖いし、出てくるだけで異物感が凄い
繰り返すけど、そんな常識の埒外を行く生物に対し、現実に根ざした人間(国)が立ち向かうというのが今回のテーマである

話劇自体の楽しさもあれ、ゴジラの大暴れに戦闘シーンまで見所は盛りだくさん
過去作とは大きく異なる作品ではあるものの、キメるシーンはとことんキメてくる辺りは、製作陣の深いゴジラ愛が伝わってくる
ゴジラ作品として、また作風としては好きになれない人もいそうだけど、個人的にはかなり好き
現代日本を痛烈になぞりながらも、人類は打ちのめされながらも前に進めるという力強い物語になっているのでオススメ
エイデン

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