なお

シン・ゴジラのなおのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

「有名すぎて逆に見てないシリーズ」の内の1本です。

「それまだ見てない」と他人に言うと「ええっ」と驚かれる映画ランキング第1位だと思っている本作。
先日『ゴジラ-1.0』が公開されたのに合わせてようやく鑑賞。

✏️現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)
まずはこの一言。
これは想像以上。めっっっちゃ面白かった。

本作は正に「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」。
キャッチコピーともなっているこのフレーズを実によく体現している。

✏️現実
まずは政治ドラマとしての本作。
まるで日本の縦割り行政の悪習を詰め込んだような

「今の、どの省庁に向かって言ったんですか?」
「こんなことは想定外だ」
「で、どれに判を押せばいいんだね」

などというセリフや演出のオンパレードにはついつい苦笑。
もうすぐそこまでゴジラは来ているというのに。

そんな中において本作のゴジラ討伐作戦の鍵を握る矢口蘭堂(長谷川博己)やカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)、民間や各省庁のエキスパートが集まり結成された巨災対のように、己の信念を持ち鬼気迫る対応で難局を潜り抜けようと悪戦苦闘する姿には思わず感動。

「核兵器」といういわば思考停止な最終手段を行使することなく、人類が持つ知恵と結束、そして根回しでゴジラを食い止める。
本作はまぎれもなくフィクションなのだけれど、こういうの見ると「人間ってすげーな」と改めて思い知らされる。

✏️虚構
怪獣映画としての本作。

実際の東京を舞台に、尋常ではないリアリティと映像、そして迫力で我々観客に絶望感を植え付けるゴジラのCGクオリティは出色の出来。

第1形態から第2形態。キモすぎ。
第3形態から第4形態。ゴジラ特有の鳴き声をあげず表情を変えず。ただただのっしのっしと東京の街を蹂躙する姿がめちゃくちゃ怖いし、印象に残る。

序盤~中盤にかけてゴジラが上陸した大田区は蒲田や丸子橋の周辺、武蔵小杉エリアは自分にとってかなり馴染みのあるエリアなので、もし本当にゴジラが上陸したら…と恐怖がより倍増した感覚を覚えた。

その後の東京駅周辺での大暴れはさらに絶望感MAX。
なんですかあの熱線。光の巨人とか巨大ロボットが出動するレベルじゃないですか。

「もう本当にダメかもしれない」
そんな諦めに似た感情を人類に植え付けるには十分すぎるゴジラの大活躍も本作の大きな見どころ。

友人・知人からの感想を聞く限り、どちらかというと人間ドラマの方にスポットが当たりがちな印象がある本作だが、怪獣映画としての本分も忘れてはいない。

☑️まとめ
「スクラップ・アンド・ビルドでこの国はのし上がってきた」
これは終盤にて総理大臣補佐官・赤坂秀樹(竹野内豊)が発した、本作を象徴するセリフのひとつ。

本作におけるゴジラ襲来はかの"3.11"東日本大震災のメタファーであるとされるが、赤坂の言う通り日本は数々の戦争や疫病、災害を乗り越え存続してきた国家。

大怪獣という「虚構」との戦いをテーマにしつつ、その苦難との戦いと復興という「現実」を描く。
「現実」と「虚構」を見事にシンクロさせた庵野監督の大傑作だ。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★★☆
📖物 語:★★★★★
🏃‍♂️テンポ:★★★★★

🎬2023年鑑賞数:95(45)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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