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シン・ゴジラのぴんじょんのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
5.0
ゴジラは震災だったんですね。

昨年4月に部署移動してから、忙しくなって、ほとんど映画をも見てません。
ここにもアップしたレビューは数えるほど。
例年、1月1日には「ニコニコ大会」をやってたけど、今年はそれも出来ず。

今年はたくさんの映画が見られるといいな。
で、今年最初のレビューは、昨年見た本作。

友人らから「是非、見るべき」と言われてたんで、「見なきゃな…」とは思っていたんですが、庵野監督、樋口特撮監督ということもあって、なんとなく食指が動かずにいました。
そしたら、珍しく、女房が「見よう!」なんて言ったんで、夫婦で見に行きました。

なんのなんの期待以上に楽しめました。

新聞では『エヴァンゲリオン』との共通点やら、安保法制との関係性やらが云々されていましたが、僕は東日本大震災の映画なんだろうなと思って見ちゃいました。
進化前のゴジラが上陸するあたりの描写は既視感があり、「あ、そうだ、東日本大震災の時の津波だ!」と気付いた次第。
災害の発生の仕方はリアルで怖かったですね。
災害は日常の中に突然入り込んでくるんだというあたりの描き方は見事だったと思います。

ゴジラの圧倒的な強さは、自然災害の前でなすすべもない人間の弱さを感じさせてくれました。
それにしても、ゴジラが炎を吹き、東京を焼け野原にするあたりは、久しぶりに「怖い」映画を見たという気持ちになりました。
ラストがわかっていても、あの絶望感は強烈でした。

リアルな災害の現場描写に対して、見事なほどカリカチュアライズされた政府関係者の対応が対照的で引き立っていました。
カリカチュアライズされているだけに、かえって現実の政治家たちに近い生々しさを感じることが出来たんではないでしょうか。

そして後半は、まさに「がんばれニッポン」。
ゴジラ退治が軍隊の新兵器に頼るのではなく、日本各地の町工場が協力するあたりは、東日本大震災で被災した製紙工場が復興する姿を描いたノンフィクション『紙つなげ』(佐々涼子)の世界でした。
そんなところが、多くの人に支持された最大の理由なんじゃないでしょうか。

最初、長崎くんちの龍踊みたいなのが出てきたときは、「なに?これ?」って肩透かしを食らったんですけど、あの無機質な作り物じみた目が結構怖かったし、ぐたーとしながらもビルを壊していく辺り「嫌~な」感じがよく出ていました。
それに、あれがゴジラに進化するなんてのは、なかなか考えたもんだと思ったのです。

オールCGのゴジラとは言うものの、その動きはモーションキャプチャを使っているとのことで、基本的には着ぐるみと同じ感覚。
演じているのが野村萬斎というのに笑っちゃいました。

2017/1/6 20:52
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