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シン・ゴジラのkitoのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.0
モノクロ映像版「シン・ゴジラ:オルソ」の登録がないのでこちらで代替。2023年秋、三日間だけ、しかもたった7館での上映というから、劇場で観た人はごく少数だろう。

ピクシブ百科事典によればタイトルの「オルソ」とは「オルソクロマチックフィルムの略称で、モノクロフィルムの一種で、赤系統の色が感光されない特徴を持つ他、モノクロフィルムで主に流通しているパンクロマチックフィルムよりも重い質感の映像が撮影できる。モノクロ映像版を作るに当たり、この質感を目指したためタイトルにも取り入れられた。」とある。

狙い通り黒は沈み込み、ゴジラの迫力はマシマシで素晴らしい。終盤、東京駅でのヤシオリ作戦決行シーンは迫力満点。ゴジラ映画なんだから、ゴジラが栄えるのがいちばんーーではあるのだけど、人間ドラマパートでは、全体にごくわずか薄緑がかった色調が気になった。もっぱら好みの問題だけど、この色調はやはりちょっと残念。

さらに、そもそも現代という時代設定はモノクロとイマイチ親和性が弱い気がする。特に抜群にマッチした「ゴジラ-1.0/C」を観た直後だけにそう感じてしまう。

本作自体はもう10回近く観ていると思う。未曾有の危機的状況に直面した政府のドタバタぶりや官僚主義な様子が風刺されているのがリアルっぽくもあり、ちょっと複雑な心境になる。後半は一転、官民一体となりゴジラに立ち向かう様子が何回観ても面白い。

「シン・ゴジラ」が2016年に世に出て、プチ社会現象化するくらい話題になった功績は大きい。第一子の「シン・ゴジラ」の様子を第二子の「ゴジラ-1.0」は見て育つ。モノクロ映像版もそれぞれに特徴があって良いーーって言えば多様性の時代っぽい、のか。
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