圧倒された、ゴジラの脅威に。
今までゴジラ映画は何作か見ただけで、熱心なファンとは言えず、何故みんなこれ程までにゴジラが好きなのか分からなかった。
作品によっては人類の味方になったりもして、なんで怪獣が人間の肩を持つんだ?と納得できないこともあった。
だが今作のゴジラは、ただただ圧倒的な災害として描かれている。
瓦礫の山となった街、放射線による汚染、被災者の避難、復興といったことからどうしても東日本大震災を重ねずにはいられない。
しかし、そのような深刻な被害をもたらしたゴジラだが、不思議と憎悪の感情が持てない。作中の市民はそうでもなかったが。これが宇宙人だったら簡単に憎んでいただろう。
古来から日本人は多くの天災に悩まされてきた。地震、津波、雷、火山その他諸々。しかし多くの被害をもたらしたそれらの自然現象に対して、恐れこそすれ憎しみは抱かなかった。
人知を超える自然を神として敬い信仰してきた。
シン・ゴジラとはまさに災害そのものであり、神・ゴジラなのだ。
今作を見て、第一作のゴジラを思い出したという感想をよく見る。僕が受けた衝撃と同じものを当時の人が受けたのならそりゃあゴジラが人気になるわけです。納得しました。
ゴジラと精霊信仰との関係は既に語り尽くされているものだろう。
しかし今こそ改めて考えて見てもいいのではないか。未曾有の災害を経験した日本人として。
あと、当然ながら本作はエンターテイメントとしても超1級品です。めっちゃ面白かった!