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シン・ゴジラのcruela53のレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.8
庵野秀明は天才だと思いました。
ここで言う天才とは、唯一無二の作品を作れる人という意味です。
同じ脚本、音楽、俳優、機材を揃えても、こんな風にゴジラを映画にできる監督は他にいないのでは。
カット割りや編集の巧みさが生み出す独特のテンポは、この映画のテーマにマッチしてとんでもない相乗効果を生んでいました。

ただ、賛否両論巻き起こす作品だというのもよく分かります。
というのは、ターゲットが狭すぎるからです。
まず、庵野秀明の手法が苦手な人にはおすすめできません。
いわゆる、アクションで流れるクラシックとか明朝体の文字の羅列とかに拒否反応が出るならやめた方がいいです。
エヴァではないけれどエヴァっぽさはところどころあります。
次に、住んでいる地域によってはあまり刺さらないのではないかと思いました。
地域の優劣を競いたいわけではなく、この映画の戦場は基本的に東京なので、あまり馴染みがない人には、この場所が壊れるとどうなのか、などがわかりにくいと思います。

いろいろ書きましたが、エヴァより門戸が広く、日本人のメンタルに迫っている普遍的な作品であるとは思います。
おそらくこの作品を海外の方が見ても理解不能なのでは。
いわゆるディズアスター映画、パニック映画ではないので。
(びっくりするくらい一般市民が出てきません。まさにモブ。)
また、ゴジラファンに向けた仕込みも多く、にやりとするところが多々あります。
日本について、政治について、3.11について、ゴジラについて、見た後に誰かと語りたくなります。
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