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シン・ゴジラのyukikaのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.1
わりかし映画好きで、わりかしお互いの映画評価の感性が似通っている知人がいるのだけど、今作ではパックリ評価が分かれた。
わたしのほうが後から観て、30分でその理由が判明。
アニメ界の巨匠『庵野秀明』氏は、実写映画である今作を、アニメと同じような構成で創ったのだと思う。(エヴァのオマージュという部分を除いても、た、たぶん)
アニメ大好きで普段から視聴しているわたしは、いわゆる`アニメ的な見せ方'に慣れている。
むしろ実写より馴染みがあるくらいだ。
一方知人は、アニメのアの字も馴染みのない一般人なので、ココが明暗を分けたのだろう。
なんだろ?
観たの去年だからちょっともううろ覚えなんだけど、展開の速さとか、心情変化のスピード感(雑という意味では全くなく)が、アニメ的だなぁと思ったんですよね。
そこがわたしには非常に心地よかったです。もっとこういう実写増えればいいのに。

で、そこを除いても、わたしはこの作品結構好き。
怪獣映画なのに、全然ヒロイックじゃないところが大変気に入りました。
これがハリウッド映画なら、必ずヒーローが現れて(職業ヒーローではなく、居合わせた誰かの中でヒーローが誕生し、あまつさえヒロインと二人だけ生き残ってあっついキッスとか交わしちゃう)、その他大勢が観客に悲劇を印象付けるために、次々と悲惨な死を遂げる。
わたしはこのヒーロー誕生システムと、無駄に悲劇を煽るハリウッド大作映画がすごく苦手なんです。
アメリカ人の国民性には合っているのだろうけれど、わたしはマインドが生粋の日本人なので。
そこを今作では、あくまで『職業モノ』に徹していたのが、非常に面白く、新鮮で、日本人が共感できるポイントだったと思うんです。

特別なことをしてるんじゃない。
それぞれが、それぞれの仕事の中で、あるいはその延長線上で、日常が壊れてもたくさんの人がいなくなっても、ただただ粛々と業務を遂行する。
結局、もし現実でなにかのっぴきならない事態が起きた時にも、そうするしかないように。

そこがね、とてもカッコいいと思ったんです。
正直、シビレタ。
働く大人はカッコいい。

そして当然のように、ムカつく上層部とかがいて、あきらかに正しいこともなかなか思い通りにできないところが、これまた実に日本的で超共感!笑
悲惨な死に様を煽るように見せつけなくても、悲劇は十分伝わるって、それを証明してくれたところも、高ポイントだったなー。
そして、なにもかも言葉と映像の両方で説明しなくとも、散りばめられた情報から想像する楽しみがあるって教えてくれる。
最近めっきり減ってしまったそんな味のある作品でもあるので、つまるところ、わりと本当に気にいっている作品です。


おススメしたい人は一択!
ハリウッド大作映画に馴染めないわ~って方、ぜひ観てください!!
一味ちがいますよ!
yukika

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