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シン・ゴジラのsokoniruのレビュー・感想・評価

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)
4.4
ゴジラシリーズ第1作目からのテーマ「反戦」「核廃絶」を現代日本版で甦らせた時...。誰もが想定外だった3.11や原発事故を国難=シン•ゴジラとして扱い、特撮したと感じる作品だった。

単純に怪獣好きで観に行った子供はゴジラがスクリーンに映るシーン以外は寝ていたんじゃないかと思う。劇中はほとんど、「国にとって予測不能の事態が起きたとき、官邸•政府はどう動き、国民を虚構のような現実(ゴジラ)から守るのか」を徹底して映し出したやり取りをメインに撮っていたから。登場人物は全員早口でしかも難しいことばかり話すし、全てのコンテキストを理解するのは不可能だった。

「緊急時にも不眠不休で国や国民を守る」という責務は理想の姿を描いていたのか、はたまた現在の官僚システムと比較し、批判していたものだったのか分からないけど「国が一丸となって脅威に立ち向かう」っていうシンプルなメッセージ性は少し「右」な印象を受けた。日米の関係性がこの上なくリアルだったかな。

対岸の火事としてではなく、ゴジラのような天災が身にふりかかってきたらどうするだろう、と考えさせられた。

水爆実験など人類の負の歴史によって誕生したゴジラが人間による武力行使で攻撃され雄叫びをあげるシーンは胸が苦しくてゴジラが可哀想に思えた。ゴジラ(負の歴史)は完全に駆逐できるものではないから、人々が忘れかけてきた頃(12年ぶりに)甦った。日本映画界•日本社会に一石を投じる作品になったと感じる。
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