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劇場版プロレスキャノンボール2014のindieのレビュー・感想・評価

4.5
2015/4/9 テアトル新宿

こいつはロードムービーだ。
ゲーム感覚でプロレスラー達が東北を目指し、道中プロレスの試合をしながら最終的には震災復興支援をするという感動作である。

ともすれば特殊学級の生徒達が修学旅行先でリハビリを放棄した卒業生達と触れ合う様にも見える程、感情過多かつ情緒不安定気味な輩が多数登場し珍事を起こす為に胸焼けしそうな気分になるが、プロレスラーは現実と非現実の境界線が解らない人種である事が理解出来れば、彼等の物言いや幼児の様な行動も微笑ましく感じる事が出来るだろう。因みに、極北的な個性派揃いの出演者の中でも私が注目したのは、世界の荒鷲こと坂口征二の息子であり、俳優である坂口憲二の兄、坂口征夫である。彼は金髪で角刈り、かつ全身刺青というモロに不良やってます的な風貌ながらも、狂気性と幼児性を全開にしたオカシナ人達相手に黙々と試合の相手をする。何も語らず積極的なアピールもせずに参加しているその姿は、更生して現在は介護士をしている元不良的な朴訥とした優しさに満ち溢れていた。実際、ガチガチの総合格闘技から始まった彼の格闘人生の黄昏時が、人の家に上がり込んで爆竹を鳴らしたりプロテインの粉をかけられたり、電気マッサージ器を付けられ痛がるというレイドバックしたプロレスに落ち着いているというのは、現役バリバリで闘っている格闘家達の引退後の指標となるのではないだろうか。そんな事さえ夢想してしまう程、度量が広くなった気分にさせてくれるこの映画は、固くぎこちないルールに縛られた毎日に飽き飽きしている人達に是非観てもらいたい。
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