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カフェ・ド・フロールのsonozyのレビュー・感想・評価

カフェ・ド・フロール(2011年製作の映画)
3.5
引き続きジャン=マルク・ヴァレ監督作。
2011年モントリオールと1969年パリのストーリーが交錯する“輪廻転生”物語。
『Café de Flore』ですが、パリのカフェが舞台という訳ではなく、Matthew Herbertの2001年の曲名で、2つのストーリーで登場します。

2011年モントリオール。40歳になる成功したクラブDJアントワーヌ(ケヴィン・パラン)は熱愛中の恋人ローズ(エヴリーヌ・ブロシュ)と、前妻キャロル(エレーヌ・フローラン)との間の二人の娘と暮らす幸せそうな男。
キャロルは15歳の頃出会ったアントワーヌとソウルメイトとしての絆を感じ結ばれ20年の関係だったが2年前に離婚。いまだアントワーヌへの想いを断ち切れぬまま、夢遊病を抱え、マリファナたばこを吸って寝ると同じ少年が出てくる夢を見ている。

一方、1969年パリ。美容師のジャクリーヌ(ヴァネッサ・パラディ)はダウン症の息子ローランを出産後、夫は去り、一人で息子を溺愛し育てている。
普通学校に通うローラン7歳の時、ダウン症の少女ヴェラと同じクラスになると二人はいつも抱き合い離れようとしない関係となり学校でも問題視さる。当初は二人を見守っていたジャクリーヌだが、次第に二人の関係を完全に引き裂くことになる。

時空を超えた2つのストーリーが回想も交えて交錯するため、前半はやや混乱気味になりつつも引き込まれ、後半にそのつながりが分かる不思議な読後感が楽しめます。

サントラ(Pink FloydのSpeak To Me、Breathe、Timeの3曲含め)も良き。

前半、アントワーヌが長年のソウルメイトのキャロルを捨て娘や両親からも嫌悪されるローズとの関係が愛欲/官能系に見えるのがちょっと残念ですが、ノーメイクで偏愛/執着母を演じたヴァネッサ・パラディと、愛の苦悩から前世とリンクしアントワーヌとローズを祝福するまでのエレーヌ・フローランの名演が光ります。
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