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潤の街のmitakosamaのレビュー・感想・評価

潤の街(1989年製作の映画)
3.8
スカパーにて。潤と書いてユンと読む。
在日朝鮮人の少女と日本人の青年との淡い恋を描いたラブロマンス。
無名の在日朝鮮人の監督が無名の韓国人女優を使い撮られた映画だが、とても純粋に作品作りをしてると思う。

ハッキリ言ってエセ左翼の井筒が作ったパッチギより遥かに良い。在日朝鮮人の監督が作った今作の方が、朝鮮人・日本人両方にちゃんと平等に扱ってる。
 
舞台は大阪で、多分鶴橋だと思われる。
たまたま知り合った2人が運命的に惹かれあうがお互いの家族は反対したりする。

外国人登録のシーンとか、過剰に演出しないで、リアリスティックに表現してるのが良い。声高に差別を主張しないのがかえって効果的だよ。
日本人の男が悪気なく「結婚して日本人に帰化したら良いじゃないか」と言っちゃう。この両者の意識の違い。こういう繊細な所で民族の壁をちゃんと描いている。

そして初井言栄演じる祖母がまた良い。ボケているようで、物語の芯になる発言をしてる。「辛い時にこそ踊る」の前フリがこうなるか!と感心すると共にとても胸を打たれた。

2人の恋愛が、若さゆえの傍若無人さで、こういうのが上手くいくわけ無いのだが、そんな中でも爽やかに輝く美しさを純粋に描いている。
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