ゑぎ

鬼のゑぎのレビュー・感想・評価

(1972年製作の映画)
3.5
 老いた母が寝間に寝ている。蜘蛛の巣の中に阿弥陀三尊のイメージが重なり、彼女の過去の状況を絵で示す。「無常」とか「無頼な夫」とか「貧」とかの文字も書かれている。この冒頭部分で、面白いなぁと思う。続いて、夜、鹿の罠を見に行く息子たち(兄弟)。二人がダンスのような歩き方で、三味線の伴奏もポップな感じという演出がいい。突然、弟は、何者かに頭をつかまれる。兄は矢を放つと、弟の髪の毛をつかんだ腕が切り離される。しかし、その腕は、母親のものだった。母は鬼の形相になり、自分の腕を持って、空へ昇って行くのだ。これら展開に何の理由も見いだせないシュールな作品。黒地の背景にシンプルな造型が力強い。上映時間8分。ナレーション等はなし(音楽のみ)。
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