原作安部公房、アニメーション川本喜八郎。夢や希望だけでなく、命まで搾り取られる工場労働者たちの苦しみと解放の物語。共産主義の象徴たる赤いジャケツのみ色がついています。
工場の煙突なんかに溜まったススで描いたような、煤けた木炭画風アニメーションに、時折、綿や氷の結晶など立体的な映像がまじるのでハッとさせられました。しかも、各人物の表情が魂こもってそうなくらいリアルでうすら怖いのです。なんというか、念のこもった心霊写真のようでした。最後のほうなんか画面から圧を感じるほどで、単純なストーリーながら分厚い印象を残す作品でした。
ところで安部公房は教書で読んだきりでしたが、ここまで共産主義のプロパガンダ丸出しだったかと驚きました。