Aix

旅のAixのレビュー・感想・評価

(1973年製作の映画)
3.7
鬼、道成寺、詩人の生涯などで知られる川本喜八郎の切り絵アニメ。電車に乗った女性が盲目の男によって異世界に連れて行かれる話。

従来の川本喜八郎とは作風も内容も全く違う作品でした。今作は序盤こそラジュテでお馴染みのフォトロマンが使用されていますが、異世界に突入してからはファンタスティックプラネット、バイオレンスボイジャーなどにも通じる気持ち悪い(褒めてる)カットアニメに切り替わり、全体的に実験的な要素が強かったです。シュルレアリスムな悪夢だし、仏教をモチーフにしているし、その割にはキリストの存在が顕著に描かれているし、日本人形作家の川本喜八郎がこんな作風に振り切れていたのが意外だし、カオスな世界観もとても魅力的でした。個人的には今作が鬼に次いで好きな川本喜八郎の作品かもしれません。
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