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ディオールと私のochoのネタバレレビュー・内容・結末

ディオールと私(2014年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

2016年にも見ていたようだが、すっかり新鮮な気分で視聴。

ものづくりの美しさと厳しさに痺れる映像作品。
建築もいろんなことに追われる事はあるが、さすがにここまでではない。

ものを作ることには時間がかかるが、それを分かっていてもなお、妥協せず厳しい要求を突きつけるラフの強さと、その分追う責任からくる不安が痛いほど伝わります。

メゾンを背負った初めてのショーを前に緊張で泣くラフ、ショーの途中からまた泣き出すラフ。見ているだけの自分も、ショーの前の緊迫感に没入できて、一緒に泣いてしまいました。

ショー前日に針子さんたちに厳しい修正(というか作り直し)をお願いしている中、もうひと頑張りのためのシャンパンタイム、すごく羨ましいですね。
こういう最後のひと頑張りを引き出す流れ、とても大事。
日本人はこういうのを当たり前だとか責任だとかでやらせますけど、いかに気持ちよく働かせるかはやはりこういうところから学ぶ必要があると思う。人のモチベを引き出すのは欧米の方が圧倒的に上手です。

これだけの事を成し遂げる肝の座った職人たちにあっぱれ。
ふたりの熟練の女性たちが全てを取り仕切っているのですが、ラフの注文にやれやれと思いながらやり遂げるママ感がすごい!
まさにこの方達あってのショーです。

もうひとりかかせないのが、ラフの右腕としてまさに潤滑油の如く動き回るピーター。
彼は本当に気が利いて、傍若無人にも思えるラフの要求をとにかく上手く回すためになんでもこなす。まさに嫁。この人なしでは全く成り立たないのです。
ラフは繊細で頑固。でもそれを形にするために必要なピーター。素晴らしいタッグでしたね。

モデルさんもこれだけのみんなの想いを乗せて歩くのだからすごい緊張だなと思いました。
美しく厳しい世界に襟を正されます。
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