ノラネコの呑んで観るシネマ

母と暮せばのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

母と暮せば(2015年製作の映画)
3.2
井上ひさしの「父と暮せば」の父娘を母息子に代え、原爆で死んだのが親ではなく子の方にした版。
「父」の方では、生き残った罪悪感を抱える娘に未来を向かせるために、死者である父が娘を諭すが、こちらでは死んだ息子に想いを残す婚約者の為に母息子が葛藤する。
やりたい事は分かるが、同じようなシチュエーションが何度も繰り返され、本来なら一時間くらいで終わる話を無理やり引き伸ばしている印象が否めず。
それに既に死んでいる息子はともかく、母の葛藤の解消はずいぶん後ろ向きに感じたが、あれで良いのだろうか。
リメイクではなく、あえて新作として作るからには、最大の相違点である母の葛藤こそフィーチャーすべきだと思うが、オリジナルからの構造変化とテーマの軸足移動が上手くいってない印象。
終盤はある意味山田洋次版「大霊界」みたいで、これはこれでインパクトあるけど。