JURIらんちゃん

母と暮せばのJURIらんちゃんのレビュー・感想・評価

母と暮せば(2015年製作の映画)
4.0
戦争映画にしてファンタジー。
戦争の生々しく恐ろしいシーンは殆ど無いにも関わらず、ただインク瓶のシーンだけで原爆というもののとてつもない恐怖を表現していた。
浩二が生前どんな男の子だったのか最初のシーンだけできちんと描かれていて、幽霊となって戻ってきた浩二の明るくお喋りな性格も、幽霊なのに違和感なく、自然とその存在感を受け入れて見ることが出来た。
山田洋次監督が、映画の舞台を広島ではなく長崎にした訳は、アメリカ軍が当初は小倉をターゲットにしていて、ほんの数分の偶然が重なって急遽原爆を長崎に落とすことにしたことと、長崎はクリスチャンが多く住む町だということだったのかと、そこの部分は強く感じた。
長崎だからこそ、この母子の物語は悲しくそして暖かい作品になったのだと思う。

嵐の二宮和也が演じる意味は、たくさんのファンが見るということ。浩二を他の俳優がやったのでは意味がない。二宮和也が演じることで大ヒットは間違いないと思うので、戦争にあまり興味の無い世代が多く見て、こんなふうに死んでいった若者がいたんだということが広く伝われば凄いことだと思った。