すぎ

母と暮せばのすぎのレビュー・感想・評価

母と暮せば(2015年製作の映画)
4.0
2015年大晦日、
『母と暮らせば』を友人と見るも、感想は真っ二つ。

友人(♀)
「いや、これはちょっとつまらなかったかな。星2つです。ニノは自分が死んだ事を受け入れられてない設定が良かったのに、しっかりと自分は死んでるって分かってたね。残念だけど泣けなかったなぁ。」

対して、わたしは星4。
序盤から涙が止まらない!

二宮君が主役ではなく、吉永小百合が軸となって物語は進行。
どのキャラクターに感情移入をするかで見方が変わっていくと思いますが、私は女性なのでやはり吉永小百合と黒木華。

伸子(吉永小百合)は、夫は結核で死亡・長男はビルマで戦死・次男浩二(二宮和也)は原爆で死亡
と、1人残された美しき未亡人。
浩二と恋人であった町子(黒木華)は、「この先結婚はしない。私には浩二さんしかいない。」と伸子の手伝いをし続ける心優しき教師である。
しかし、町子は見た目も綺麗で心も優しい誰もが魅力的だと思うような女性。
そんな彼女を一生独身のままでいさせていいのか、、、?
伸子はそう感じていく。

部屋で吉永小百合と黒木華が会話をしているだけで心を締め付けるような寂しさを感じる。
それは伸子が
「結局はひとりぼっち」
とでも言いたげな切ない瞳をしているから。
彼女の周りには友達もいる、幽霊の浩二が現れて喜びいっぱいの顔もする。けれどその瞳から寂しさは抜け切れていない。
そんな吉永小百合の存在に胸を鷲掴まれた。

人の心を大きく揺さぶろうとする作りではないです。
ただ、じんわりと悲しみや温かさが波紋のように広がる感覚が心地良い。

乗り物に例えるならば
目まぐるしく景色が変わるジェットコースターではなく、
自然を楽しむ、ゆったりとした進み具合のロープウェイのような映画です。


あと、時折出てくるCGのシーンですが
山田洋次監督の、歳を重ねても時代の流れを自分の中で止めず、新しい事を吸収して成長し続けようとする心意気を感じました。

否定する方も多そうだけど、作り手の気持ちを考えると愛しく思えてきません?
(私の勝手な推測だけど)
すぎ

すぎ