【母の想いに思いを致せば涙流るる】
自分がこの世に生をうけたとき、1番喜んでくれたのは誰だろうか?
それはおそらく両親であり、お腹を痛めて産んだ母親だろう。
初めて泣いたあの日も、初めて褒められたあの日も、はじめて学校にいったあの日もそこには母の存在があった。
1人の女性が子供のために命をかけれるようになってしまう一つの事件。
ー 母は大きくて、強くて、偉大な存在である ー
この作品は、そんな母の想いがビシビシ伝わってきて、泣かずにはいられませんでした。
巨匠・山田洋次監督が描く本作。
長崎の原爆で死亡した息子が幽霊となって、3年後のある日母の前に現れて…
3年も経って戻ってこない息子。
でも、原爆によって息子は死亡している。
そう思い込んでも一つの遺留品も残ってない。
どこかにいるんじゃないか?
どーしても現実を受け入れられない母。
みかねた息子は母の前に現れ、過去を振り返りだす。
一番胸にきたシーンは、
【なぜ、あの子が幸せになって、息子は幸せになれないの? いっその事2人が逆だったら良いのに…】との発言。
あの強くて人間的に立派な母、そしてあの子は自分の娘のように大切にしてきた人。
心であの子の幸せは願っていても、息子が幸せになれない不条理から出てくるこの発言。
(こんなことは決して言ってはいけない)それはわかっていてもしてしまったこの発言は、他でもないこのお母さんから出る言葉だからなによりも重みがあった。
吉永小百合と二宮くんの演技はやっぱり凄くて、物語に引き込まれました。
息子【死んだことは運命なんだよ】
母【それは違うよ。地震や津波はそうかもしれないけどね、戦争は人間が始めたものなのよ。】
改めて戦争についても考えることができる作品でもあります。
あれからときが経つばかりですが、あの悲惨な事件は折に触れて思い出すべきだと私は思います。
この映画自体には突っ込みたい部分ももちろんありますが、とても良い映画だったと思います。
………………………
夜に母に電話しました。
【いつまでも、あると思うな、親と金】
今自分の命があることに感謝し、親孝行を沢山したいです。
2016.1.20
(慕情→本作→スペクター(3回目))