とむ

無垢の祈りのとむのレビュー・感想・評価

無垢の祈り(2015年製作の映画)
3.1
映画を見終わった直後の満足感は低かった。虐待を受け、ほとんど言葉を発することなくひたすら彷徨する主役の少女の気持ちが分からなかったから。いったいどれほどの苦しみをその心に抱えているというのだろう。それを汲み取れた気がしなかった。

しかし自分は児童虐待や性的虐待の実態、それによって子供が負う心的外傷などについてこれといった知識もない。
ましてや子供が性的虐待を受けたとしても、そのことを正しく認識・理解したり大人に自分の苦痛を訴えることも困難なのではないか。
そう考えると、作中での少女の行動や気持ちの伝わらなさにも納得がいく。

逆にとあるギミックを用いた義父による性的虐待の描写のおぞましさ、少女が発する絶叫の痛ましさ、その二つだけは不快なほどにリアルで生々しい感覚を自分にもたらしてくれた。

そういったことを踏まえて見直してみれば、もっとこの映画のことを良かったと思えるのかもしれない。そんな予感がしている。
とむ

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