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肉体の門のmのレビュー・感想・評価

肉体の門(1988年製作の映画)
4.5
重厚なヒューマンドラマ。
強く生きていく女たちに心打たれる。

マツコがある番組で紹介していて、興味を持った。
ジャケットとタイトルが20代前半の自分には手が出難いものだったけど、意を決して観てよかった。
涙が溢れて堪らなかった。

日本敗戦直後、パンパンとして命を繋ぐ女たちの人生を描いた作品。
戦争映画はその戦争真っ只中というものが多い気がするが、今作は敗戦後。
負けた外国人相手を客に取る彼女らは逞しかった。
けれど、少しずつ秩序が崩れていき、「誰が戦争を始めたんだ!男だろ?!」そんな重い言葉が吐露され泣き崩れてしまった。
男が戦争を始めたわけじゃない。
けど、打つけどころのない苛立ちが感じられた。

今でこそ、バラエティーや2時間ドラマの常連のイメージがあるものの
かたせ梨乃さんと名取裕子さんの美しさに釘付け。
とりわけ、憎い相手を思い浮かべる名取裕子さんの肌の白さプライド溢れる真っ赤な口紅に呆然としてしまった。
恐ろしく美しい。

きたがわ澄子(名取裕子さん)がレイプされそうになる浅田せん(かたせ梨乃さん)を助けるシーンが圧巻。
敵対視する両者が、レイプに負けず踊る姿に震えた。
負けた日本人、股を開かざるを得ない女。
けれどプライドはある。
この姿は見るものを圧倒させる。

ファッションがとにかく可愛い。
外国から入ってきている服、日本特有の着物、それを上手に着崩す。
娼婦と分かり易い服装だけど、やはりそこにもプライドを感じる。

タイトルとかジャケットとか関係なく、観るべき作品。
素晴らしかった。

ストーリー : ★★★★★
映像 : ★★★★☆
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★★★★
メッセージ性 : ★★★☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆

cc/うっかり抱くと危ないよ!
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