幽斎

ロッジ LODGEの幽斎のレビュー・感想・評価

ロッジ LODGE(2014年製作の映画)
3.8
物語は何の理由も無く人が消える、その場所から逃れられない設定こそ強引ですが、人が消えるルールと言うのは幾つか観客に提示されます。先ずロケーションとしてはセリフで語られる通りプレストンと言う事はカナダと国境を接するミネソタ州で有る事が分ります。セリフに有る寒暖差を考えた時に、相当数時間がここだけ早い事も分ります。しかも物語が進むと時間軸は決して一定でなく、しかも建物と人間との時間軸の整合性も無い。つまり物語のトリックはイリュージョンとか錯覚の類と違う、論理的なモノで無い事は展開を考えれば明白です。

ですから、スリラー好きの私的には本作をシチュエーション・スリラーと呼ぶ事には反対です。さりとて幽霊や殺人鬼が出て来る訳でもないので、ホラーとも違います。ですが物語で提示されるヒントの数々を真剣に考えていると、これの多くがミスリードな故に謎解きを本気で考えてると頭が沸いて来ると思われます。ですから、ミステリーでも有りません。言えるのは此処までです。

観た方の多くが「オチが丸投げじゃないか」とか「結局何なんだよ」とお怒りの御様子ですが、こうやって物語の型を絞り込むことで自ずと結論は導き出せる様に、きちんと演出は為されています。例えば後半に登場するある人物の服装に注目して下さい。これだけでも監督が言わんとしている事は分る筈です。

「だったらお前、説明してみろよ」と御叱りを受けそうなので、決定的なヒントを。エンドロールの1:30:00で1度止めて見て下さい。出演者の1人、Robert Picardoの紹介にある文言が有ります。映画ファンならこれだけで十分でしょう。Julianne Moore主演のあの映画とテイストは同じですね。私は此方も好きですが一般ウケはとても悪い(笑)。最もオチがハッキリしたらしたで、「何だ○○○じゃないか」と、また別な意味でお叱りを受ける事はほゞ確実です。ですがカメラのアングルだったり、消失の演出にはセンスも感じるし決して悪い作品では有りません。お暇でしたら、どうぞ。
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