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ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューションのkuuのレビュー・感想・評価

3.9
『ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』
原題 The Hunger Games: Mockingjay - Part 2
映倫区分 G
製作年 2015年。上映時間 137分。
スーザン・コリンズのベストセラー小説をオスカー女優ジェニファー・ローレンス主演で映画化した全米大ヒット作『ハンガー・ゲーム』シリーズの完結編。
シリーズ2作目からメガホンをとるフランシス・ローレンスが引き続き監督。
共演はシリーズおなじみのジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ドナルド・サザーランド、そして14年2月に急逝し、本作が最後の出演作になる名優フィリップ・シーモア・ホフマンら。
映画ポスターのカットニスの赤い衣装は、映画には登場しな~ぃ。
んでもって、作中の有毒オイルのトラップがある円形の集合住宅は、実際エスパース・アブラクサスはフランスのパリ郊外にあるそうな。
CGIチームは中庭の多くの木をデジタル処理で取り除いたが、敷地には少し手を加えただけやそうですよ。

カットニス率いる第13地区の反乱軍は、スノー大統領が支配する独裁国家パネムとの最終戦争に突入。
カットニスは、ゲイル、フィニック、ピータらとともにスノー大統領暗殺作戦を決行する。
しかし、カットニス抹殺に執念を燃やすスノーはその作戦を見抜いており、反乱軍は死のトラップや無数の敵に直面。
カットニスはかつてない非道な選択を迫られることになる。

※感想はネタバレに定食じゃない、抵触してますし、お読みの際はお気をつくあれ。

小生がこの先の世に希望を抱く現代社会の傾向のひとつは、ヤングアダルト小説の顕著な割合が強い反権威主義をテーマにしていることです。
若い主人公が、仲間の有無にかかわらず、専制的な国家や虐待的なヒエラルキーと闘い、自由と個人主義を擁護する結末を迎える。
ディストピアSFは、こないな葛藤をドラマチックに描き、野放図な権力やないがしろにされた自由から生じる危険を説明するのに、とても効果的な方法やと思います。
こないな物語が人気映画のシリーズ化になれば、さらに善哉。
昨日、12月22日に映画版『ハンガー・ゲーム0』シリーズの最終作が公開されたけど、今作品の専制的な政府に対する一般的な反論であると同時に、政治や政治家の本質について、さらに破壊的な指摘をしてる所をどのように受け継いで作られているか楽しみです。
今作品の冒頭では、主人公のカットニスは、専制的な指導者であるスノー大統領に対する個人的な闘争が、大規模な反乱と結びついていることに気づく。
これは多くの兵士がいることを意味し、圧政国家を打ち負かそうとするときには役に立つが、政権交代以上の意図を持っているかもしれない政治指導者たちがいることも意味する。
反乱軍を率いるのはコイン大統領で、彼女は前作で初めて観たとき、スノーを打倒する決意を固めているように見えたが、自分の望みをかなえるために人を利用し、イメージを操作することをいとわない人物やった。
しかし、今作品では、彼女自身が暴君になりそうな人物であることが明らかになる。
彼女が望んでいるんは、カットニスが戦ってきた自由な社会ではなく、自分自身のための権力であること。
彼女は自分の地位を確保するためなら、(カットニスの最愛の妹を含む)何百人もの子どもたちを殺すことも厭わない。
そして、歴史上の暴君がよく使う合理的な理由である混乱を理由に、約束していた選挙を即座に中止する。
カットニスは、自分を苦しめた暴君的指導者を打倒するという、ある意味では成功した自分の努力が、自分を苦しめた新たな暴君的指導者の台頭にもつながっていることに気づく。
新しいボスに会う、古いボスと同じように。
しかし、古いロック賛歌が示唆するように、カットニスは二度と騙されることはなく、古い暴君の処刑式の最中に新しい暴君を即座に暗殺する。
現実世界での政治的暗殺を支持するわけではないが、物語の中では、カットニスが正しいことをしているのは完璧に明らかちゃうかな。
旧体制とその独裁者は不当な抑圧者であり、新体制はその発足当初から不当であることが判明する。
しかし、現実の世界にも当てはまる教訓がある。 一つには、
目的は手段を正当化する 
なんて云う人々を、極めて懐疑的に見ること。 こないな考えを持っているのはコイン大統領だけでなく、カットニスのボーイフレンドのような存在であるゲイルも、戦い方という点でこの考えを支持している。
カットニスは、この前提が無差別殺人に対する非人間的な態度をもたらすと観察している。
振り返ってみると、このやりとりはゲイルがコインの計画に加担し、それゆえカットニスの妹を殺した責任を負う伏線やった。
また、権力を求める人々に対しては、極めて懐疑的であるべき。
プラトンからトールキン、アクトンに至るまで、権力は腐敗させるものであり、すでに腐敗しがちな人々には特に強く訴えるものだと云われてきた。
オーウェルが指摘したように、権力の目的は権力である。
しかし、コインは決して反権力ではなく、新しい権力になるために既存の権力と戦っていただけや。
現実の世界では、選挙のたびにこのような光景が見られる。
多くの権力者はの権力を弱体化させるために自由のレトリックを使い、そして権力を行使するのはスミスなのだ。
もう騙されないように。
なんて堅苦しく書き連ねましたが、こないな肩肘を立てて観るもよし、肩の力を抜いて観るのもよし、今作品はシリーズ1から観てきたらかなり愛着をもって見守れる作品になっとります。
『The Hunger Games: Mockingjay』パート2は愛着をもってるからかとても楽しめた映画でした。
『ハンガー・ゲーム』シリーズの最後を飾るにふさわしい満足感と感動を与えてくれたかな。
アクションのセットピースはどれも巧で、特殊効果もよかった。
地下のセットピースはこの映画のハイライトのひとつじゃないかな。
今作品は単なる一連のシリーズを観てればアクションシーンの寄せ集めではない。
心に響く場面もたくさんある。
シリーズの良いところを全て取り入れ、シリーズの中で一番好きな作品です。
今作品にはひねりの効いた展開がたくさんあり、最後まで飽きさせない(もちろん、本を読んでいなければの話やけど)。
前3作にはなかったサスペンス要素も個人的に気に入ってます。
フランシス・ローレンス監督は、映画『ハンガー・ゲーム』に完璧な終わりを与えてくれた。
カットニス・エヴァディーン役のジェニファー・ローレンスはほんと傑出している。
ピータ・メラーク役のジョシュ・ハッチャーソンも。
また、ゲイル・ホーソーン役のリアム・ヘムズワースに、ヘイミッチ・アバナシー役のウディ・ハレルソン、スノー大統領役のドナルド・サザーランドは脅威的。
そして、プルターク・ヘブンズビー役のフィリップ・シーモア・ホフマンもいい。
アルマ・コイン大統領役のジュリアン・ムーア、 プリムローズ・エヴァディーン役のウィロー・シールズは印象的。
フィニック・オデール役のサム・クラフリンにマハーシャラ・アリ、ジェフリー・ライト、ジェナ・マローンはそれぞれボッグス、ビーティー、ジョアンナ・メイソンを効果的に演じている。
スタンリー・トゥッチとエリザベス・バンクスは、それぞれシーザー・フリッカーマン役とエフィー・トリンケット役で超豪華やった。
ナタリー・ドーマーとエルデン・ヘンセンはそれぞれクレシダとポルックス役で素晴らしい。
脇役陣も巧だった。
スピンオフ『ハンガーゲーム0』は正月休みにでも揺ったりと劇場で観てみたい。
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